スペイン、そして能登から

スペインと能登のことを主に書いています。

能登とスペイン、似てる?(ド田舎ガリシア州)

ポルトガルの上の方にある、ガリシア州

スペインでは田舎の代名詞らしい。それも能登に似ている・・・

マドリードからはバスで7時間ほど。電車ならもう少し早いかも。

イベリア半島の中でも雨が多く、食べ物が非常においしい!

ヤコブの墓があるサンティアゴ・コンポステーラもこの州にある。

フランスから巡礼の旅をしてここの大聖堂でボタフメイロの煙を浴びる映像は

テレビでもおなじみになっている。

日本からも近年多くの巡礼者があるようだ。

なんでも、しばらくは大聖堂の改修でミサは近くの教会でするようなので、

巡礼に行く方は注意が必要。ボタフメイロはないもよう。

 

タコ

タコのガリシア風(Pulpo a la gallega)というバールの定番料理がある。

タコとジャガイモにオリーブオイルとパプリカ・パウダーと塩をかけただけの、超簡単料理だ。全国のバールで食べることができる。

タコは能登地方でも冬の味覚のひとつで、昔は取り立てのタコを茹でてそのままかじりついたものだ。タコの種類はよくわからないが、どのバールで食べても柔らかくておいしい。水族館には「タコの館」なるコーナーもある。

 

カキ

近年は能登でもカキが名産の一つになっていて、「のと鉄道は」、カキを目当ての観光客(中国の方も多い)でいっぱいだ。日本のカキと種類が違い、丸い形だ。これにレモンをかけていただく。ワインはリベイロをおすすめされた。

カキを殻から外してくれるセニョーラたちも、ウチの近所のおばちゃんたちみたいで、なんとも懐かしい感じがした。

 

漁師の皆さん

どこの町でも漁港の方に行くと、日本の定置網のようなものなのか、おじさんとおじいさんと、時々若者が網の手入れをしている。この風景も能登の漁港の風景にそっくりだ。ちょっとお話してみたが、方言も同じくらい難解だった!

 

ガリシアは魚介だけではない。肉もおいしい。畜産も盛んなのだ。ア・コルーニャには、肉料理がおいしいバールやレストランがたくさんあった。しし唐の焼いたものをつまんでいると、いい感じで肉が運ばれてくる。最初はその大きさにひるんだが、食べ始めると止まらない。一体何グラムあったのかは知らないが、完食。おいしい。

 

ワイン

最近は穴水町能登ワインさんをはじめ、能登でもワインが作られている。身びいきなのかもしれないが、おいしい。時々、贈答に使うが好評なので、もっとメジャーになることを願っている。

ガリシアのワインと言えば、アルバリーニョのワイン。初めて飲んだ時、そのフルーティな味わいにびっくりした。つい、バールで3杯くらいお代わりした。何かをつまむのも、もったいないくらいにワイン単独でおいしかった。

他にもカキにあうリベイロやオウレンセの山間部のリベイラ・サクラなどがある。

ガリシアは湿気の多い地方なので、ぶどうは他のスペインの地方と異なり、日本のように棚で栽培される。「緑の宝石(だったかな)」アルバリーニョの収穫時期には盗難が多く、ニュースでも話題になる。

 

歴史

海沿いなので、外敵からの侵入は当たり前。ガリシアイングランドの脅威にさらされていた。中世にはマリア・ピッタさんという女性がア・コルーニャイングランドから守ったということで、広場には銅像もある。古代にはケルト文化の影響があり、サンタ・テクラ遺跡にはケルト風の住居跡がある。ガイタという楽器もバグパイプが基になっているらしい。

能登は大陸に近く、古代には韓国や中国との交流があり、国際的なところだった。縄文時代から高度な文化があり、能登町縄文真脇遺跡にはその痕跡が残っている。

昔は浜で知らない文字(ハングル)が書かれた瓶が流れ着いていた。

方言でも、中国語や韓国語に似た発音を聞くことができる。

能登ガリシアも、外に働きに出る人が多い。都会に出る人、出稼ぎに行く人・・・

ガリシアでは新大陸に出稼ぎに行って一財産築く方も多かった。

能登では、船乗りになる人が多く、小学校の頃は「今日はお父さんが帰ってくるから」というクラスメートの言葉に、意味はわからないものの、遠くに働きに行っているのかな、と思っていたものだ。

 

説明するのは難しいが、人の感じや食べ物が能登に似ていて、7日間滞在したが、とても落ち着いて、帰りたくないと思ってしまった。

海も似ている。ガリシアの海は大西洋になるが、いつも白い波が立っていて、まるで能登の海のようだった。母に写真を見せると、ウチの前の海で撮った写真だと思った!とのこと。まさか波の花はないと思うが。

 

違うところは、ガリシアには大きな港があることだ。歴史的にアメリカ大陸との往来が盛んなことや、イングランド方面も近いことから、工業製品もここを通過して欧州各地に運ばれることが多い。飛行機でしりあったお兄ちゃん(ガリシア人)のいうことには、彼は日産の下請けで働いていて、ヨコハマというところに研修で行くのだとか。イングランドで組み立てた車両の最終チェックをして、バルセロナに輸送するそうな・・・  他にも、工場も多く、スペインの工業の一翼を担っているらしい。

 

地図で見るとサンティアゴ・コンポステーラの少し下の方、ポルトガル寄りには

ヨーロッパ最大の漁港があるVigoがある。

もうかなり昔になるが、Vigoのフットボール・チーム、セルタ・デ・ヴィーゴの試合を見に行ったところ、試合途中から大雨になり、ハーフ・タイムにスタジアムの外を見ると、ほぼ水没していた。その辺にいたスタッフに、大丈夫なのか、ここはいつもこうなのかと聞くと、「そんなに頻繁じゃないから。このくらいなら大丈夫!」と笑顔で答えてくれた。

試合が終わったころには、小降りになり、なんとか行けそうか!と思っていたら、後ろから日本語で声をかけられた。振り向くと、若いスペイン人の女性がいた。お話を聞くと、日本人のご主人と車で来ているので、よかったらセントロまで乗せていってくださるという、ありがたいお申し出だった。車はトヨタだった。

ご主人は、日本の大学を出て、セビージャでスペイン語を習って、この町の漁業関係の会社に就職されたそうだ。福島県いわき市のご出身とのこと。

当時2部にいたセルタを見に来るとは、物好きだと言いわれた。

ガリシアではいつ雨が降るかわからないので、傘を持ち歩くといいですよ、と教えてくれた。そうだ、石川県の方でもそうだなぁ。

ガリシアは雨が多いとは聞いていた。傘も持っていた。しかし、スタジアムが水没するほどの雨がこんなに急に降るなんて、想像もしていなかった!

本当に、運がよかった。ご親切に深く感謝している。