スペイン、そして能登から

スペインと能登のことを主に書いています。

アート・セミナー

セルバンテス文化センターはスペインが世界各国に設置している国営機関で、スペイン語の学習や文化交流、イベント、図書館などがある。

 

これまでご縁がなく、映画の上映会ぐらいしか出たことはなかったが、2018年2月にプラド美術館展が開催されることから、2017年秋から2018年春にかけてプラド美術館に関するアート・セミナーが開講されたので、これに参加し、それ以降もアート・セミナーに参加している。

2018年に入ってからは、何を思ったのか、読書倶楽部、インテルカンビオといったイベントに参加するようになり、図書館まで登録してしまった・・・

そもそも、アート・セミナーは日本語だと思っていたので、気軽に申し込んだところ、よく見たらスペイン語でも講義だったので、当初は非常に緊張した。

先生のスペイン語がとても聞き取りやすかったので、何とか理解していると思うが、本当に理解しているかは不明。

 

アート・セミナーの先生は、サラマンカ大学で美術を学ばれたカロリーナ先生。

スペイン美術について、日本では学べないような最新の情報を盛り込んだ講義をしてくれる。ご自身もアーティストで、創作もされる。そのため、ベラスケスの講義の中で、実際に油絵を描くためにはどういった物が必要で、キャンバスの準備や絵の具の材料までを自分の経験からお話していただき、17世紀の画家がどのように絵を描いていたのか、今とどう違うのかを説明していただいた。

確かに、今なら絵の具や画材は画材店で買うことが出来る。しかし、当時はすべて自分で作ったのだ。気が遠くなるような話だ。

近代の画家とはそのあたりが違うのだろう。

また、ベラスケスを巡る当時の宮廷事情やイタリア絵画の影響など、本当に楽しい講義だった。

 

ベラスケスのシリーズが終わると、今度は毎回テーマを変えての講義になった。

毎回のテーマも非常に興味深いものばかりで、時にはゲスト・スピーカーを呼んだり、映像を見たりと、本当に飽きない。

 

前回のゴヤの講義では、ゴヤの隠し子・ロサリオがテーマだったが、これまでゴヤのドラマや映画を見ているはずなのに、彼女のことはどうやらスルーしていたらしい・・・

フランスで制作されたドラマでは、ゴヤの奥さんの病床で、ロサリオの母親を遠縁の娘と紹介していた場面をなんとなく覚えているが、その程度だ。

ロサリオはその後、ゴヤと一緒にフランスに行き、後年スペインに帰ってきてからは、女王イサベル二世の絵の講師にもなっている。

しかし、病気になって療養しているので、宮廷生活でのストレス、察するにイジメにでもあったのだろう。療養からマドリードに戻ってから、すぐに亡くなっているが、死因はコレラだったとのこと。ホントかな・・・

でも、生きていれば、女王の肖像画家として、プラド美術館でその絵を見ることが出来ただろうと思うと、残念でたまらない。